東京地方裁判所 昭和53年(ワ)9201号 判決
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【判旨】
二そこで、本件解除の意思表示の効力の有無について検討する。
賃料を二回以上または管理費等の諸料金の支払いを怠つたときは、何等の催告を要しないで賃貸借契約を解除できる旨の本件特約の趣旨は、賃料の支払いを二回あるいは諸料金等の支払いを怠れば、それだけで、常に、直ちに解除できるというのではなく、賃料等の支払いを怠つて、そのために、もはや正常な賃貸借契約の継続を期待することができないような状態になつた場合に限り、催告を要しないで解除できる旨と解するのを相当とするところ、前記当事者間に争いのない請求原因3(二)<編注―「(二) 本件無催告解除の特約は有効であり、かつ後記のような事情の下では、本件解除の意思表示は有効である。(1) 原告は、被告に対し、昭和五三年五月九日付内容証明郵便で同五二年一一月分から同五三年二月分までの毎月一万八〇〇〇円づつの不足賃料計七万二〇〇〇円、同五三年三月分から四月分までの毎月二万円づつの不足賃料計四万円、五月分の賃料全額及び看板料八万円を本郵便到達後五日以内に支払いをするように催告し、右支払いがない場合には解除する旨通知をしたところ(右通知は右の頃被告に到達した)、右通知後、原告は、被告から同年四月二七日に二四万七四五一円が銀行に振込入金されていることに気がつき、右解除の意思表示を撤回した。そして原告は、右二四万七四五一円を同年三月分の管理費(一万一〇〇〇円)、水道、光熱費(八万九四五一円)及び同年四月分の賃料中一四万七〇〇〇円の支払に各充当し(前記内容証明郵便中、四月分の不足賃料二万円との記載は誤りで、四月分の賃料全額とすべきであつた。原告担当者の誤解によるものである。)、その結果、右内容証明郵便を発したとき現在、被告が遅滞していた債務は、前記四ケ月の不足賃料計七万二〇〇〇円、昭和五三年三月、四月分の毎月二万円づつ不足賃料四万円、五月分の賃料全額及び看板料であつた、(2) 更に、原告は被告に対し、昭和五三年八月一二日到達の内容証明郵便で、被告が、前記四ケ月の不足賃料七万二〇〇〇円、同年三月分から六月分までの毎月二万円づつの不足賃料計八万円、七月、八月分の賃料全額、看板料八万円、六月請求分の管理費、光熱費計八万八五九五円、七月請求分の管理費、水道、光熱費計一七万九四三三円の支払いを遅滞しているとして解除する旨の通知をしたところ、右通知後、原告は、被告から同年八月一〇日に二三万五五九五円が銀行に振込入金されていることに気がつき、前同様右解除の意思表示は撤回した。そして原告は、右二三万五五九五円を六月請求分の管理費(一九〇〇円)、光熱費(六万九五九五円)及び七月分の賃料中一四万七〇〇〇円の各支払に充当した。その結果、右内容証明郵便を発した時現在、被告が遅滞していた本件債務は、前記不足賃料計七万二〇〇〇円、三月分から七月分までの毎月二万円づつの不足賃料計一〇万円、八月分の賃料全額、看板料、七月請求分の管理費(八月分)、水道、光熱費(いずれも七月分)であつた、(3) その後も、被告は、前記請求原因2の記載の如く債務の履行をしなかつたので、原告は本件解除の意思表示をなしたものである。」>の事実よりみれば、被告は原告の再三にわたる警告にも拘らず、前記のように賃料等を約定通り支払わなかつたのであるから、被告の右行為は、後記のように本件解除後、被告が原告に対し八一万六七九二円を支払つた事実を考慮しても賃貸借における信頼関係を破壊するものであり、もはや正常な本件賃貸借契約の継続を期待することは不可能であると思われる。従つて、本件解除の意思表示は有効である。
(満田忠彦)